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実質ゼロ金利と量的緩和でデフレに立ち向かう「ヘリコプターベン」

 FRBのバーナンキ議長は理事時代の2002年11月、デフレが米国で起こる可能性がいかに低いかを巡り講演した。柔軟な経済構造や健全な金融システムに言及しつつ、対応が遅くデフレ克服に失敗した例として日本を名指しした。
 当時の日本では、竹中平蔵金融担当相と民間の専門家による「竹中チーム」の一挙一動に大手銀行が震え上がっていた。「厳格な資産査定」や「繰り延べ税金資産の適正な計上」を迫られ、資本不足や破綻懸念が膨らんでいた。
 それから6年。バーナンキ氏はデフレの回避に全力を挙げるため事実上のゼロ金利政策に踏み切り、金融市場の隅々に資金をふんだんに届ける量的緩和にもかじを切った。米国の大幅な利下げで、外国為替市場では急激な円高が進んだ。
 バーナンキ氏はITバブル崩壊後の2002年当時、「近い将来、米国で深刻なデフレが起きる可能性は極めて小さい」と主張した。彼が指摘したのは、米国の金融システムの強さだ。「過去1年間の激しいショックにもかかわらず、我が国の銀行システムはなお健全で、しっかり規制されており、企業と家計のバランスシートも概ねいい状態にある」と。
 バーナンキ氏はまた、「問題から脱する最善の方法は、そもそも問題に陥らないことだ」というものでもあった。デフレ期待を反転させるのは難しいという懸念が、FRBが2007年8月の危機発生以来、政策金利を急激に引き下げてきた背景にある。
 皮肉なことに、この金融危機に陥った一因は、FRBが6年前にデフレを恐れ過ぎたことにある。FRBは果敢にデフレを阻止するために長期間の低金利政策を続け、そのことが大きな住宅・信用バブルを生み、そのバブル崩壊がまさに当時恐れていたデフレの事態を招いてしまったのである。FRBが当時、デフレをもっとも恐れていたことは、グリーンスパン前FRB議長の回顧録「波乱の時代」の中でも述べられている。
ヘリコプターベン では、バーナンキ氏は次にどんな手を打つのだろうか。FRBには無限にマネーを生み出す打ち出の小槌がある。この巨大な印刷機(小槌)を使えば、FRBは何のコストもかけずに、マネーを際限なく創出できる。金利がゼロになっても、FRBはまだまだ金融を緩和できるのである。一方で政府は好きなだけ赤字を出し、それを短期国債の発行で賄い、FRBは低金利を維持するためにその国債を無制限のマネーで買い続ける。金融市場へ無制限にマネーを送り込むのである。FRBは思うがままに、どんな民間資産だって買える。どんな価格で買うか、どれだけ買うかも思いのままだ。また消費を増やすために、小切手という形で直接国民へマネーをばら撒くことも可能である。
 これは、デフレに苦しむ日本に対して「デフレを克服するには、ヘリコプターからマネーをばら撒けばよい」と発言し、「ヘリコプター・ベン」と揶揄されたヘリコプターマネー理論を足元アメリカで実行することである。ただしこれには副作用がある。マネーが市場にあふれることによる貨幣価値下落と物価上昇(インフレ)である。しかし、ひとたびインフレが戻ってくれば、目標値を上回るインフレ期待にならないようFRBは利上げをし、政府は市場で調達可能な水準まで財政赤字を減らせばよいのである。
 ただこれらは、あくまで机上の論理であり、上手くいくとは限らない。市場で購入した国債をFRBが売り出せば、長期金利の急上昇を生み、ハイパーインフレになりかねない。戦の殿のように、何事も引き際が一番難しい。「言うは易く、行うは難し」である。ただ、現在の状況は誰もが経験したことのない未曾有の危機であり、どのような政策がもっとも有効か誰にも分からない。これからのFRBとアメリカ政府の政策から目が離せない。

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