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リスク見えぬ「CDS」、日米欧清算機関を設立 金融機関の損失処理促す

 クレジット・デフォルト・スワップ(CDS)とは、企業が発行する社債などを持つ投資家が、第三者である金融機関などからCDSを買っていると、企業が倒産しても元本が戻ってくる金融派生商品(デリバティブ)。ここ数年、世界で取引規模が急速に膨らみ、6月末の取引残高(想定元本)は全世界で54兆ドル(約5400兆円)に達し、世界各国の国内総生産(GDP)合計を上回る。日本の残高は80兆円程度に上るとみられる。
 CDSは基本的に金融機関などの投資家同士が相対で取引している。このため取引内容の詳細は第三者にわかりにくく、市場の全体像も見えない。しかも相対で条件が異なるため売りたいときに売れず、正確な価格さえつかめない。米証券大手リーマン・ブラザーズが9月に破綻すると、市場の信用不安が一気に顕在化。「CDSの契約が履行されず、世界中で金融機関が連鎖的に破綻するのではないか」との疑心暗鬼が市場に広がり、それが原因で銀行間取引が機能不全に陥ってしまった。銀行機能の低下は実体経済への影響が避けられず、世界の株価下落に拍車をかけた。
CDS取引の仕組み 清算機関はCDSの売り手と買い手の資金を仲立ちする組織。清算機関ができるとCDSの情報が一元化され、市場の透明化が進む。具体的には社債などの銘柄ごとに、損失を肩代わりするための最新の料金(保証料)が明らかになる。銘柄ごとの取引条件や取引規模もわかる。
 これまでは相対で取引していたため、企業の破綻リスクを示す最新の保証料の水準がわかりにくかった。清算機関ができると、金融機関にとってはCDSの時価がわかるうえ、社債などの発行企業が破綻した場合は比較的早い段階で損失額などを見積もることが可能になる。
 金融機関は損失の規模がわかれば、それに対応した費用を早期に計上し、損失処理を加速することができる。資本を増強して健全化を進める道筋もつけやすくなる。
 米欧発の金融危機ではどの金融機関がどれほどの損失を被るのか不透明で、市場の不安が増幅している。不安の連鎖を断ち切り、金融危機を終わらせるためには日米欧で清算機関を設立することが重要との指摘が多い。
 ただ清算機関を設立したからといってリスクがなくなるわけではない。株式の決済が集中されていても、発行企業が破綻すれば購入者が損失を被るのと同じだ。取引が標準化され、取引しやすくなると投機目的で利用する市場参加者が増え、市場の巨大化が止まらない可能性も残る。
 このため清算機関の仕組みを整備するとともに、CDSの保有額を規制する制度の導入も欠かせない。具体的には金融機関のトレーディング勘定を使ったCDS保有額が増えれば自己資本の積み増しを求めるように、自己資本比率規制を強化する方向だ。これによってデリバティブの巨大化が引き起こす弊害を取り除く必要がある。
 日本では来年にも東京証券取引所グループが清算機関を設立する方針。東京金融取引所も設立を検討している。欧州ではEUの執行機関である欧州委員会が今年中に、清算機関の設立を加盟国などに提案する考え。米国でもシカゴ・マーカンタイル取引所(CME)グループなどが設立準備を進めている。

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