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アーバンコーポレイション破綻の裏側(下) 窮余の調達、不透明な開示

 8月13日民事再生法の適用を申請したアーバンコーポレーションは、300億円の転換社債型新株予約権付社債(CB)発行で、実際には92億円しか調達していなかったことをあわせて明らかにした。CBの引受先である仏金融機関BNPパリバと「スワップ契約」を交わしていたからで、契約の存在自体も初めて開示した。
 資金調達の仕組みはこうだ。アーバンコーポは6月26日、パリバを割当先にCBを発行すると発表。払込日は7月11日で、調達資金は「短期借入金などの債務返済に使う」としていた。市場では資金繰りを不安視する声もあっただけに「ひとまず一息つけたのだろう」(大手運用会社)ととらえられた。
 破綻前の公表はここまで。ところがスワップ契約を組み合わせたため、資金の流れは別な形になっていた。まずアーバンコーポがCB発行で払い込まれた300億円をいったんパリバに戻す。この時点での実際の調達額はゼロ。一方、パリバは引き受けたCBを株式に転換して売却、株価や売買高など決められた条件に応じた金額をアーバンコーポに支払う。アーバンコーポは分割して資金を受け取ることになる。
 この仕組みだと株価が高く売買が活発であればアーバンコーポの資金調達が進みやすい。「一週間程度で総額300億円が振り込まれる想定だった」(宮地典之常務)。だが、誤算が生じた。株価の下落だ。
 スワップ契約には、株価が「下限価格」を下回るとパリバが支払いを停止できる内容を盛り込んでいた。CB発行発表時に300円台だったアーバン株は破綻発表日に60円台まで下げた。この間、「下限価格」を株価が上回ったのはわずか6日。パリバはCBの一部を株式に転換したが、アーバンコーポが受け取ったのは92億円だけだ。民事再生法の申請でスワップ契約が終了し、300億円の全額調達は計画倒れとなった。
 これらの取引の開示は問題含みだった。
 当初の発表内容からは、CBの払い込み時点でアーバンコーポが300億円全額を調達できたと読み取れる。スワップ契約を組み合わせたことで「後払い」による調達になる可能性は全く知らされていなかった。破綻後、会社側は「相対取引であるスワップ契約は開示の対象ではない」と弁明していたが、CB発行とスワップ契約は不可分な取引だったといえる。
 スワップ契約の当事者であるパリバの対応はどうだったのか。大量保有報告書によれば、同社グループはCB発行の決議前からアーバンコーポ株を市場内外で頻繁に取得・処分していた。内部では情報隔壁を設けていたとみられるが、決議後にスワップ契約が開示されていない状況でもアーバンコーポ株を売買していたことになる。一部は貸株が絡んだ取引とみられる。一般に貸株を利用した取引は株価下落の際に利益を上げることや損失回避を目的とするとされ、市場で憶測を呼んだ。
 最終売買日の12日、アーバンコーポの終値は1円。ピーク時の2846分の1だった。
 東京証券取引所は12日、民事再生法適用を申請したアーバンコーポレイションがCBを発行した際に、仏金融機関BNPパリバとスワップと呼ぶデリバティブ契約を結んでいたにもかかわらず情報開示していなかった件について「不適正な開示だ」とのコメントを発表した。
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