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オーベン上場廃止転落の教訓(上)買収価格、過大に算定

 ネット関連企業のオーベン(旧アイ・シー・エフ)が19日、東証マザーズから退場した。派手なM&A(合併・買収)を繰り広げ、買収先の価値を過大に見積もって上場廃止を迫られた構図はライブドアと同じ。オーベンの転落の軌跡から見えてくるのは、市場の公正な取引を担うインフラの底の浅さと投資家の未熟ぶりだ。
 「両社は株式価値の評価を公正妥当だと判断した」。2004年12月24日、オーベンは株式交換で広告会社の大阪第一企画を買収すると発表した。現金換算で8億円の規模だった。
 このM&Aが大阪府警の捜査の網に引っかかった。謀議に加わったのは買収するオーベンの経営陣と、買収される大阪第一企画を事実上支配していた梁山泊の実質的代表者(ヘラクレス上場のビーマップ株の相場操縦でも逮捕・起訴)。これに会計士も加わり大阪第一企画の価値を実態以上に膨らませ、同社の株主が株式交換で受け取れるオーベン株を多くした。
オーベンの買収企業一覧 株式交換を利用した偽計取引は、公判中のライブドア事件でも焦点の一つ。オーベンはライブドア以上に株式交換を乱発、買収した企業は16社にのぼる。
 当時は新興株相場も上げ潮でM&Aブームの真っただ中。買収発表のたびにオーベン株は上昇した。例えば業務用段ボール販売のオーダーボックス・ドットコム。04年9月3日に買収を発表すると、72万8000円だった株価はほぼ10日後に104万円まで急騰した。
 株価が上がれば、株式交換では「高い買収通貨」を活用できる。9月から12月までに一気に6社を傘下に収めた。12月にライブドア元取締役の榎本大輔氏がM&A戦略を立案する最高戦略顧問に就くと買収は加速。不動産広告や衣料品輸出入、コイン駐車場まで次々と手を伸ばした。
 05年9月には、09年3月期に経常利益52億円とする経営計画を公表した。だがバラ色だったのは成長ストーリーだけ。現金換算で約120億円に相当する株式交換の投資結果は散々だ。
 06年3月期は子会社の不振で55億円の最終赤字に転落。買収した16社は、その後9社で総額21億円が戻ったにすぎない。株式交換で新規発行した3万6000株に加え、ストックオプションも関係者に大量発行。発行済み株式数は10倍に膨らみ、既存株主の持ち分は目減りした。
 買収戦略の失敗以上に問題なのは、株式交換のときに算出した被買収会社の価値の妥当性と、その算定手続きだ。
 05年7月に買収した不動産広告のプライムスタイル。買収をはさんで経常損益は黒字から二期連続の赤字に。買収時に3億7000円と見積もった事業価値は、昨年11月の売却時には1円とほぼ無価値になった。
 上場企業と違い、未上場企業は買収価格の目安となる日々の株価が分からない。このため資産価値や収益力などから理論株価を計算する。
 プライムスタイルを算定した神谷町綜合会計事務所は「担当していた会計士がおらず、詳細は回答できない。ただ一般的には会社側の計画に沿って算出する」(総務部)と話す。これに対して大手監査法人の公認会計士は「会社側の業績予測を鵜呑みにせず、妥当性を判断するのが当然」と疑問を投げかける。
 会計士など外部の専門家に依頼した価格算定がいい加減では、投資家はM&Aをきちんと評価できない。市場での株価形成もひずみかねない。
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