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USS証券の破綻と仕手筋草月グループの瓦解

 ある新興証券会社が2月20日、破産を申し立てられた。東京・新川に本店を置くUSS証券。債権者による破産申し立ては、証券会社として国内初のことだ。
 異例の手段に出たのは、だいこう証券ビジネスだった。USS証券から受けた注文を取引所につなぐ業務を行っていた。ところが、昨年12月、信用取引の注文銘柄が暴落、だいこうは損失の穴埋めをUSS証券に求めた。「元の注文を受けていた顧客から入金されないので、1月15日まで待ってくれ」。USS証券はそう回答したという。が、入金はなく、立替金7億円近くが焦げ付く羽目になった。破産という強硬手段を選んだのは、金融庁などと相談した結果だ。「顧客と裏でつながっている印象もあり、証券取引等監視委員会に連絡した」。関係者はそう話す。
 破綻の発端となった暴落銘柄は東証2部の光学関連企業、ユニオンホールディングスとみられる。それまで130円前後で推移していたユニオン株は昨年12月20日に急落、たった1日で半値になった。売買当事者によると、「ある証券グループに対する割安の大口売りが影響した」とのことだが、真偽は不明だ。
 問題のUSS証券は2003年に前身が設立。実はユニオン社も大口出資者の1社だ。同証券と密接な関係を持つ上場会社はもう1社ある。ジャスダック上場の映画・投資関連会社、オメガプロジェクト・ホールディングスで、最近までUSS証券はオメガ社と同じ紀尾井町のホテルニューオータニに入居していた。
 気になるのはユニオン、オメガ両社がUSS証券を窓口に株式取引を行っていた点だ。つまり、両社の「機関証券会社」のような存在だったのである。にもかかわらず、USS証券は大株主企業であるユニオン社の株に大量の買いを入れていた。ユニオン、オメガ両社はここ数年、大規模な新株発行を繰り返すものの、多額の赤字計上が続く仕手銘柄。前出の関係者が「裏」を疑うのも、このあたりの事情が関係する。
草月会館 USS証券の背後に浮かび上がるのは、株式ウォッチャーの間で「草月グループ」として知られる一群の企業・人物の存在だ。東京・赤坂の青山通り沿いに立つ「草月会館」に多くの関係先が入居することから、そう呼ばれる。表看板や公然たる組織を持たず、実態には謎が多いが、中心人物と目されたのは故高橋治則氏。日本長期信用銀行を破綻に追いやったイ・アイ・イ(EIE)グループの総帥で、二信組事件では背任罪に問われた。バブル崩壊後、経済的に破綻したかに思われた高橋氏だが、いつしか仕手筋として復活、根城にしたのが草月会館だった。
 先頃収監が決まった田中森一弁護士の自叙伝『反転』では、親密な間柄だった高橋氏の株式投資に関する記述が出てくる。「青山通りに面したビルにオフィスを構え…大株主になり、会社を支配…事実上、上場会社三社のオーナーになっていた」とし、問題のUSS証券についても紀尾井町オフィスは「完全復活」の象徴として描かれている。
USS証券と草月グループの関係 だが、その高橋氏が05年7月に急死すると、草月グループの周辺では次々と異変が起きた。一昨年2月にはユニオン社の河西宏和会長が代表取締役を突如解任。草月会館7階の事務所金庫から大量の株券を無断で持ち出したことが理由とされた。河西氏はEIE社長を務めるなど、故高橋氏の右腕的存在だった。さらにユニオン、オメガ両社が共同で傘下に収めていたジャスダック上場の通信工事会社、TTGホールディングスで粉飾決算が表面化。同社は昨年1月、上場廃止に追い込まれた。
 昨年11月に摘発されたオー・エイチ・ティー(OHT)株の相場操縦事件も草月グループとの関係が注目された。起訴された中前祐輔、関澤賢治両被告はシンガポールに「キャラノ・インベストメンツ」なる会社を設立していたが、同社の日本支店が置かれていたのが草月会館7階だったのだ。2人はその前に川上塗料株の株価操作でも起訴されていた。
 中前被告が関与するシンガポールに登記された別の会社は、ユニオン社の増資引受先として名前が出たこともある。事件では弁護士の椿康雄容疑者が共犯とされ、行方が追われている。周辺事情に詳しい弁護士によると、故高橋氏の葬儀では親族の隣に椿容疑者や中前被告が座っていた、との情報もあるという。大量の借名口座による頻繁な売買で株価が操作されていたOHT株だが、昨年5月に暴落。注文を出したまま決済されない“テッポウ”で、証券会社31社に100億円以上の損失が発生した。中前被告らは資金繰りが続かず、株価が維持できなかったようだ。
 USS証券破綻についてユニオン社に取材を求めたところ、「資本関係は昨年10月に解消した」との回答が得られた程度で、あとは「ノーコメント」。オメガ社は情報開示も行わないまま2月いっぱいでひそかに紀尾井町のオフィスを引き払い、東五反田に移転している。

週刊東洋経済より抜粋
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