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サブプライムローン問題越年 兆候は1年前、混乱は世界に

 二〇〇七年の金融市場は米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に振り回された。サブプライムローン会社の破綻第一号から約一年がたち、波紋は住宅市場だけではなく大手金融機関を含めた金融システム全般を今なお揺さぶっている。米欧の金融当局、政府の緊急対応にもかかわらず、サブプライム問題は越年しそう。今年たどった危機の断面を検証してみた。
 〇六年十二月、住宅ローン会社のオウニット・モーゲージ・ソリューションズが米連邦破産法一一条の適用を申請した。延滞増に伴い大手金融機関から転売したローン債権の買い戻しを迫られ、資金繰りが行き詰まった。サブプライムローン会社の破綻第一号だ。
 〇七年三月、住宅ローンの債務不履行(デフォルト)が増えたことを理由に、サブプライムローン実行額で当時業界第二位のニュー・センチュリー・ファイナンシャルが新規融資を停止。破産法一一条の適用申請に追い込まれた。
米住宅ローン延滞率 住宅価格の下落に伴う住宅ローンの延滞はその後も加速。サブプライム事業の縮小や停止を余儀なくされた金融機関は四月時点で五十社を超え、七月に百社、十二月下旬には二百社に達した。
 「〇六年四月に実施した住宅ローン会社調査で『いずれ調整が避けられなくなる』との見方が九割にのぼっていた」。ロバート・シラー米エール大教授はこう振り返る。同氏は米住宅価格の動向を示す「S&Pケース・シラー住宅価格指数」の開発者。〇六年前半から「住宅バブルの崩壊」のリスクを訴えていた。
 米抵当銀行協会(MBA)によると〇七年四―六月期のサブプライムローン延滞率は前年同期比3.1ポイント高の14.82%。七―九月期は16.31%にはね上がった。
 「ベアー・スターンズ傘下のヘッジファンドがかなりの損失を被っているらしい」。六月上旬、こんなうわさが市場を駆け巡った。実際、ベアー傘下のファンド二社が多額の資金を投じたサブプライムローンを裏付けとする合成債務担保証券(CDO)の価格が春先以降に急落、運用内容が悪化していた。
 ベアーは六月二十六日、十六億ドルの資金支援に踏み切ると発表。傘下ファンドは借入金で投資規模を膨らませる高リスクな運用手法が裏目に出て、投資家の出資分をほぼ全額食いつぶし、最後は破綻に追い込まれた。
 他のヘッジファンドでも同様の理由で解散したり、投資家への資金返還を停止したりするケースが続出。サブプライム問題の影響が住宅ローン業界にとどまらず、金融機関全般に広がる実態が明らかになった。
 八月に入ると、独中堅銀行のIKB産業銀行がサブプライム関連の巨額損失を公表。仏銀最大手BNPパリバも証券化商品市場の混乱を理由に、傘下の三ファンドで資金の出し入れを凍結した。サブプライム問題が世界に飛び火し、危機の深刻さが表面化。金融システム問題として意識されるようになった。
 格付け会社による大量格下げの影響もあり、サブプライム関連の証券化商品の価格は夏以降、一段と下落ピッチを速めた。米欧の金融機関は相次ぎサブプライム関連で巨額損失を計上。主要金融機関のサブプライム関連の損失額(公表ベース)は九百億ドル規模に膨らんでいる。メリルリンチ、UBS、シティグループなどは相次いで中東やアジア諸国のファンドから出資を受け入れ、資本増強を迫られている。
 M&A(合併・買収)市場にも悪影響が広がった。投資ファンド主導のM&Aが中止に追い込まれる例が相次いだ。
 八月九日、欧州中央銀行(ECB)と米連邦準備理事会(FRB)が緊急の大量資金供給に踏み切った。ECBは〇一年の米同時テロ以来の大きさとなる九百五十億ユーロ、FRBは二百四十億ドルを供給した。FRBとECBは十日も連日で大量の資金供給を続けた。それでも短期金利は高止まり、FRBは八月十七日、公定歩合の緊急引き下げに踏み切った。米連邦公開市場委員会(FOMC)は景気判断も下方修正。インフレ警戒から景気重視にかじを切った。
 ホワイトハウスも始動。ブッシュ米大統領は八月三十一日、連邦住宅局の保証拡大や住宅資産価値の下落に伴う減税策に言及し、議会に速やかな法整備を促した。
 FRBは九月十八日のFOMCでフェデラルファンド(FF)金利の0.5%引き下げを決定。「金融緩和なしでは生産や雇用の深刻な低迷につながる恐れがある」との見解を示した。
 市場の流動性低下に歯止めをかけるため、ポールソン米財務長官は、短期債の買い取りを支援するための大手銀による共同基金の設立構想を主導。シティグループなど米銀三行は十月十五日、基金創設で合意したと発表した。十二月六日には、大統領と財務長官がサブプライム対策の追加策をまとめた。サブプライムローンの金利を当初金利に据え置くことなどが柱で、危機対応で官民が足並みをそろえた。
 十二月十一日、FRBはFF金利の誘導目標を0.25%引き下げ、年4.25%にした。FF金利の下げ幅は1.0%に達した。翌十二日、FRBはECBなどの中央銀行と協調した年越えの資金供給を発表した。
 全米不動産協会(NAR)や米抵当銀行協会(MBA)など業界団体は、米住宅市場の販売件数や着工件数の底打ちは早くて〇八年後半との見方を示す。住宅価格は〇八年いっぱい下落を続ける公算が大きい。
 住宅市場の悪化が〇八年以降も続けば、サブプライムローンを組み入れた証券化商品の価格の一段の下落は避けられない。欧米金融機関が簿外で運営する特殊な運用会社「SIV(ストラクチャード・インベストメント・ビークル)」などがどう着地するかもまだ不透明。サブプライム問題に絡む金融関連の損失は最終的に数千億ドル規模にのぼるとの試算もある。
 大手銀は十二月二十一日に突然、共同基金の創設を撤回。サブプライム対策も一部でほころびを見せている。「特効薬」が見つからず、住宅や証券化商品の値下がりという症状を残したまま、サブプライム危機は〇八年も世界の金融市場に暗い影を落とし続ける。
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