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簿外のSIV、サブプライムで巨額損失、連結問題浮上

 欧米金融機関の間で米国のサブプライム問題を契機とした巨額損失計上が相次ぎ、簿外で運営しているSIVストラクチャード・インベストメント・ビークル)の連結問題が浮上している。特別目的会社SPC)について、米国では厳格な連結ルールを導入している一方、ルール整備が遅れている日本では同様の問題に対応できないとの声も出始めた。SIVのしくみと会計基準の違いを点検した。
 SIVは一般に証券化商品や金融債などに投資する目的で作ったペーパーカンパニー(SPC)を指す。短期市場で三―六カ月程度の資産担保コマーシャルペーパーABCP)を発行して資金を調達。その資金で残存期間五年程度の証券化商品や銀行の劣後債などを購入し、長短金利のサヤを抜く。
 運用資金の九割以上を利払いコストの低い負債で調達し、リスクを受け持つ資本部分は五―一〇%程度に抑えることで出資者のリターンを高めるしくみだ。設立時に運用方針や経営が悪化した場合の手続きなどを厳密に定め、ルールに従って運営する。いわばプログラムを埋め込んだ自動人形のような事業体といえる。
SIVの仕組み 金融機関はSIVの設立当事者だが、SIVに直接出資したり融資したりしないことで会計上、連結から外している。連結外でなければ証券化商品の売却益を計上できず、SIVを使った資産圧縮もできないためだ。金融機関はSIVに一定の融資枠を供与して手数料を稼いでいるが、契約を超えて連結外のSIVを支援する義務はない。
 ところが今回はサブプライムローンを組み込んだ証券化商品の価格が急落。含み損を抱えたSIVの資金繰りが悪化し、金融機関が義務以上の支援をせざるを得ない状況に追い込まれた。
 投資家は金融機関が設立当事者として暗黙の保証を与えていると思っており、金融機関はSIVを支援しないと自身の評判に傷がつくとの不安がある。
 米国基準ではSPCによる粉飾決算で破綻したエンロン事件の反省から二〇〇三年に連結ルールを強化。変動持分事業体(VIE)という定義を導入し、議決権ではなく最もリスクを引き受ける相手先に連結させることでSPCに包括的な網をかけた。国際会計基準もSPCの連結ルールは厳しい。
 銀行はSIVを連結するとバランスシート(貸借対照表)を圧縮できなくなり、BIS規制(自己資本比率規制)を満たしながら高い収益を上げるビジネスモデルが一気に崩壊する。
 それでもHSBCは関係する二つのSIVを全面支援し、国際会計基準に従って連結すると表明した。
 シティグループも傘下に七つのSIVがあり、法的な義務以上の負担を引き受けると最もリスクを引き受けているとみなされるため、十三日にはSIVを連結すると発表した。
 シティグループなどがSIV救済基金設立を表明し、日本のメガバンクにも融資を要請したのは「新基金の抱えるリスクの引受先を分散させ、新基金の連結は回避したいのだろう」(外資系証券のアナリスト)という。
 日本基準は国際会計基準と同じく、相手に対してどの程度の実質支配力を持つかを基準とした連結ルールを導入している。
 ただ、海外に比べSPCを連結対象外とする要件を幅広く認めており、日本の金融機関でSIVのような問題が起きても「日本基準では連結対象にならない」(証券化に詳しい会計専門家)との指摘も出ている。
 日本は二〇一一年六月末までに国際会計基準との共通化を進めているが、日本のルール整備は「一周遅れ以上」(日本公認会計士協会幹部)という。SPCの連結ルールは難しい論点が多く、議論が進んでいないためだ。
 オフバランス取引は投資家にとってわかりにくく、見えないリスクが潜んでいる可能性もある。日本も海外と歩調を合わせながら実効性のある基準を早急に構築する必要がありそうだ。
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