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サブプライム危機の教訓3 ヘッジファンド、負のレバレッジが連鎖

 約十五億ドルの損失を出して七月末に破産申請した米証券ベアー・スターンズ傘下の二本のヘッジファンド。最近になって投資家の資金一ドルにつき六十ドル相当の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)関連の合成債務担保証券CDO)を購入した時期があったことがわかった。
 ファンドはサブプライムローン関連の住宅ローン担保証券を裏付けにしたCDOを中心に投資。高利回りを稼ぐため、保有CDOを担保に複数の大手証券から借金して投資額を膨らませた。二本のファンドのうち一本は、投資家資金に対する借入額の割合を示すレバレッジ比率が平均数十倍にのぼったとされる。
サブプライムとヘッジファンド 二本のファンドの運用担当者ラルフ・シオフィ氏はベアー社の稼ぎ頭だった。CDO市場が隆盛をきわめた二〇〇六年には、ウォール街の証券会社から大得意先としてもてはやされたという。
 だが住宅市場の低迷でサブプライムローンのデフォルト(債務不履行)が急増するとCDO価格も急落。サブプライム関連の資産担保証券の利回りは急上昇し、投資家は一斉に売りにまわった。ベアーの保有するCDOはさらに価値が下落、CDOの買い手がつかない“死のスパイラル”状態に陥った。資金の出し手の証券会社からも追い証を迫られた。
 ゴールドマン・サックスは傘下のクオンツ運用ヘッジファンドで十五億ドルの損失を計上。ベアー傘下のほかソーウッド・キャピタル、ディロンリード・キャピタル・マネジメントなど数社のファンドが破綻した。
 クレディ・スイスによると、サブプライム関連のヘッジファンドの損失額は最大で五百二十億ドルにのぼる可能性があるという。「サブプライム関連投資で巨額損失を出したヘッジファンドの多くが借り入れで投資資金を増やすレバレッジを大きくかけていたことが裏目に出た」(コニファー・セキュリティーズのフィル・ステイプルトン社長)
 ヘッジファンドの破綻は、サブプライム問題が証券化市場を通じた負のレバレッジ効果で増幅していることを浮き彫りにした。「住宅市場や金融市場の一部の問題」と高をくくった政府高官や金融機関も、金融システム全体の信用問題ととらえざるを得なくなった。
 ベアー傘下のファンドへの投資家訴訟を手掛ける法律事務所、ザマンスキー・アソシエーツの弁護士ジェイコブ・ザマンスキー氏は「格付けトリプルAの金融商品に投資する安全なファンドとうたい、リスクヘッジをせず、市場価値を把握できない保有証券の評価額を運用担当者の判断で決めていた」と指摘する。
 米ビジネスウィーク誌がベアーのファンドの財務諸表について捜査会計の専門家などに精査を依頼したところ、ファンドの純資産の六割超は評価額の把握が難しく、運用担当者の独自判断による推定だったという。
 高格付けをよりどころに資金を集めCDOを購入し、それを担保に多額の借金をしてさらにCDO保有を増やしたヘッジファンドと金融機関。レバレッジをきかせることは、住宅市場が上向いている限り高収益をもたらす有力手段だったが、サブプライムローンのデフォルトが起きるリスクシナリオはまったく無視されていた。

 九八年に金融市場を揺るがしたヘッジファンドのロング・ターム・キャピタル・マネジメント(LTCM)の破綻と今回のベアーのファンドの破綻を重ね合わせる向きも多い。ただLTCMが金融市場の浮き沈みをリスク要因として踏まえながらも市場環境の急激な変化に追い付かずに損失を出したのと比べ、ベアーのケースは潜在リスクそのものを軽視していたという点でいかにもお粗末。
 しかも金融市場への影響は米国内にとどまらずはるかに広範に及ぶ。ザマンスキー弁護士に来たベアーのファンド投資家からの訴訟依頼は米英に加え、ドイツ、フィンランド、インドネシアからも来ているという。
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