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サブプライム問題で先手 HSBCは「隠れ指標」

 証券保管振替機構と日興コーディアルグループは二十九日、証券会社などを対象に日興株とシティグループ株との株式交換に関する説明会を開いた。定員二百人弱の会場は満員。日興からの説明者は「国内の株主に(煩雑な手続きで)ストレスをかけないように検討してきた」と語ったが、株主の種類によって証券会社が用意する書類の組み合わせは十五パターンもある。「日本初の三角合併」は、うんざりするような事務手続きの連続なのだろう。
 事務手続きもさることながら、日興の株主にとって最大のストレスは、自分たちが株主になるシティそのものの行方だ。アブダビ投資庁ADIA)からの出資受け入れで、目先の株価下落には歯止めがかかったものの、先行きの不透明感を指摘する声は多い。ADIA向けの出資証券は年利一一%と、米国の投資不適格債並みの水準。さらに簿外で運営してきたSIVストラクチャード・インベストメント・ビークル)の取り扱いも焦点だ。
 米国の信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)問題に端を発した金融市場の混乱で、資金繰りが苦しくなっているSIV。証券化商品に投資するヘッジファンドともいうべき存在で、破綻すれば金融システム全体がさらに揺れる。フィッチ・レーティングスによれば今年七月時点のSIVは合計二十九本、三千六百八十億ドル。このうち七本、八百三十億ドルのマネジャーを務めるシティの対応に、世界中の株式投資家も注目している。
HSBC株価チャート 主要銀行のなかでいち早くSIVへの対応をはっきりさせたのが、英銀HSBCだ。マネジャーを務める二本のSIVの投資家に、HSBCが全面的に資金繰りの面倒をみる新設会社のコマーシャルペーパーなどを割り当てる。さらに二本のSIVを「HSBCの連結資産とする」とも発表した。連結される四百五十億ドルの資産から評価損が発生する可能性はあるものの、「もやもや感が消えたという意味では市場にポジティブな印象を与えた」(JPモルガン証券の中空麻奈クレジット調査部長)。格付けもとりあえず維持された。
 HSBCの動きが好意的に受け入れられたため、今後は他の銀行もSIVの救済と連結に動く可能性がある。市場はシティにも八百三十億ドルの簿外資産を連結するよう圧力をかけてくるだろう。
 米国発というより「シティ発」と言いたくなるほど、最近の株式相場はシティ株の上げ下げに敏感になっている。確かにシティから目は離せないのだが、HSBCも折に触れて市場に重要なメッセージを発してきた。
 昨年末からサブプライムローン市場の変調を投資家に訴え、今年二月には二〇〇六年の貸倒引当金が市場予想を二割上回る百五億ドルになると発表。これをきっかけに一部のヘッジファンドや投資銀行が、サブプライム関連の商品のカラ売りを本格的に始めたという。「HSBCはサブプライム問題の深刻さを測る隠れ指標」と語るベテランの銀行株アナリストもいる。
 「今年に入って外資系の投資銀行が、妙に熱心にサブプライム関連への投資を勧めてきた。社内でも本気で検討したけれど見送った。今思えば、売り逃げる相手を探していたのだろう」
 サブプライム関連の損失がほとんどない、大手金融機関の首脳から最近こんな打ち明け話を聞いた。証券化が損失のババ抜きゲームに転じる局面では、「隠れ指標」のメッセージに気づいた者がすばやく動き、勝者にもなりやすい。ババを押しつけられた日本の金融機関や投資家は、まだすべて表面化していないのかもしれない。

 「米住宅市場の悪化は、個人の信用力に今までよりも広い範囲にわたって影響を及ぼしている。引当金は高水準で推移するだろう」
 SIV連結の発表に先立つ十一月十四日、HSBCは第三四半期の貸倒引当金が三十四億ドルと従来予想より十四億ドルも増えることを明らかにすると同時に、こう言い添えた。問題はサブプライムローンだけでなく、クレジットカードなどに及び始めているという含みだ。
 英国の名門銀行の警鐘に気づいた日本の株式市場の関係者は、どれほどいるのだろうか。
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