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膨らむ夢の果て 米住宅差し押さえ急増(サブプライム問題)

 持ち家、学歴、長寿……。豊かさの追求を原動力に膨らみ続けてきた米国経済だが、様々な分野できしみが目立ち始めている。市場経済や競争原理をフル活用してきた米国型の社会システムは強さを維持できるのか。三億人の国民がポスト・ブッシュ政権に託す課題を探った。
 「信用力の低い個人向け住宅融資(サブプライムローン)の担保不動産の差し押さえ率は三割に上り、百二十万世帯が影響を受ける」
 九月に開いた米上下両院合同経済委員会。チャールズ・シューマー委員長(民主党)ら質問者の顔が見る間に曇った。同委員長は「サブプライムローンは過剰融資だった。持ち家が次々に失われる事態は何としても避けたい」と怒りをあらわにした。米抵当銀行協会(MBA)などによれば、これまで差し押さえ件数は四半期で二十万件のペースだったが、今年は三十万件を超え、来年半ばには五十万件に増える見込みだ。
 「悪役」扱いされているサブプライムローンだが、もともとは低所得者層の持ち家購入を促進する「善玉」だった。
 米政府は一九九〇年代半ばに住宅ローンや不動産売却益の課税控除制度を拡充。九五年末に六五%だった米世帯の持ち家比率は昨年末に六九%に上昇。所得水準が比較的低いとされる非白人層の上昇幅は八ポイントに達した。「(高リスクの借り手に高金利で貸し出す)サブプライムローンが持ち家上昇比率に貢献した」(議会予算局のピーター・オースザグ部長)
 「善玉」が「悪役」に転じたのはなぜか。カギは米金融業界の成長を支えてきた「証券化」と「グローバル化」にある。
 住宅ローン会社は融資後、ローン債権をまとめて欧米大手金融機関に販売。その後、金融大手が債権を証券化、世界の投資家に販売してリスクを世界に分散した。証券化されたサブプライムローンは九五年の百八十五億ドル(約二兆円)から昨年は約四千五百億ドルに増えた。
 だが落とし穴もあった。リスク移転を前提に貸し出しを増やしてきた住宅ローン会社の融資審査は甘くなり、各社は無理な貸し出し競争に走った。カネ余りの投資家もリスクを無視して証券化商品に手を出してきた。しかしローンの増勢を支えた住宅価格が頭打ちとなり、ローンの延滞や担保不動産の差し押さえが急増。証券化商品の値下がりが止まらなくなった。その結果、「証券化」と「グローバル化」がパンドラの箱を開き、損失は世界にばらまかれた。
 米金融市場で最近「Xデー」と呼ばれるのが〇八年三月。今年まで月間五百億ドル規模だった変動金利型融資(ARM)の借換額が一千億ドルとピークを迎えるためだ。返済額が増えることから今後、住宅ローンの延滞で担保不動産を差し押さえられ、持ち家を追い出される人が増加するとみられる。
 芝を敷き詰めた庭とガレージの付いた一戸建て住宅は、米国人なら誰でも手に入れたいと願う夢の一つ。差し押さえは「アメリカンドリーム」を打ち砕き、損失拡大が経済に打撃を与えるのと同様に、深刻な傷を国民の心に残す。
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