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移動平均線と株価、「セオリー」は正しいのか?

 過去の株価の動きから相場の先行きを占うチャート分析。代表的な手法の一つが、過去の一定期間の株価の平均値である「移動平均」を使った判断方法で、例えば株価が移動平均を離れて下がれば買いサインといわれる。移動平均を巡るセオリーが正しいかどうか、実際に検証してみた。
 移動平均をつないだものが移動平均線。例えば五日移動平均線は、その日を含めて五営業日分の株価の終値の平均値(移動平均)をつないだ線だ。代表的な期間としては五日のほか二十五日、十三週、二十六週などがある。
株価と移動平均線 株価が移動平均から大きく離れるほど、トレンドからも外れることになる。そのため、その後は本来の流れに戻ろうとする力が働くとされる。そこで、どれくらい株価が移動平均から離れているかを示す移動平均乖離(かいり)率からその後の値動きを予測する手法がある。
 例えば、株価が移動平均を下回れば、その後株価は値上がりする場合が多いとされ、一般に買い場といわれる。現に日経平均株価が急落した八月半ば、日経平均株価は大幅に二十五日線を下回ったが、その後上昇した。このようにセオリー通りの例もあるが、いつも正しいのだろうか。
 そこで、一九八〇年以降の二十八年弱の日経平均株価を対象に、複数の乖離率を使って検証してみた。一般的なセオリーの一つに「乖離率がマイナス五%に達したとき、おおむね半月後には株価は上昇している」というものがある。しかし二十五日線から五%下方乖離後、例えば十四営業日後に値上がりしていた確率は五一%。ほぼ五分五分で「買いサイン」とするには心もとない結果となった。
移動平均線と乖離率 そこで乖離を七%に広げてみた。トレンドからより大きく離れれば、元に戻る力も大きくなる可能性があるからだ。グラフBは、移動平均から七%以上乖離した最初の日に比べて、営業日ごとに株価が上昇していた確率を示したもの。二十営業日後まではおおむね六割以上の確率で上昇しており、特に十六営業日後の上昇確率は七割近い。
 二十日移動平均線で乖離率マイナス七%の場合も同様に検証してみたところ、値上がり確率は二十五日よりさらに上昇した(グラフB)。つまり移動平均から七%以上、下に乖離した際に買えば、かなりの確率で値上がりが見込めるという結果になり「大きく乖離すれば反転」というセオリーは裏付けられた。
 注意点は「どれくらいの乖離率や移動平均の期間で判断すればいいのかは、銘柄ごとに異なる」(立正大学の林康史教授)ことだ。日経平均の場合は、二十日や二十五日移動平均の七%乖離で一定の傾向が見られたが、東証株価指数もそうなるとは限らないし、もちろん個別銘柄の場合も別だ。一律の判断は危険で、自分で過去の値動きなどを見て判断する必要がある。
 またグラフBで見るように、株価が上昇する確率は、十六、十七営業日後を境に下降気味になっていることにも注意したい。すばる証券顧問の四方田勝久氏は「株価が移動平均より下にあるとき、トレンドが下向きになっていることも多い」と言う。
 その場合は「短期的には上昇しても中長期では再び下落に転じる公算も大きい。乖離率による判断は、あくまで短期投資のセオリーと見るべきだ」(四方田氏)。
 異なる移動平均線を組み合わせて判断する手法もある。チャートを見ると、株価に寄り添うように二本の移動平均線が示されている場合が多い。期間の長い方を長期線、短い方を短期線と呼ぶ。よく使われる組み合わせには五日線と二十五日線、十三週線と二十六週線などがある。
 短期線が長期線を下から上に突き抜ける「ゴールデンクロス」が買いサインとして有名だが、相場がかなり上昇してから表れるケースが多く、タイミングがやや遅れてしまうことになる。「短期線と長期線の向きや株価の位置などによって勝敗はまちまち」(四方田氏)との指摘もある。

IPゾーン テクニカルアナリストの川口一晃氏は、長短の移動平均線と株価の位置や向きに着目して「IPゾーン」と名付けた投資法を提唱する。「IPゾーン」の条件は(1)株価が短期の移動平均線よりも上(2)長期の移動平均線よりも下(3)短期線が上向いている――のすべてを満たす場合。グラフCに示したように、株価が底入れした後に短期線を上回ってきた状態を指す。
 短期線が上向きになっているので再び下落する可能性は比較的小さく、株価が長期線に届かない時点なので、タイミングが遅れすぎにくい。
 グラフCは十三週と二十六週の二つで判断したものだが、実際に二〇〇三年以降で明確なIPゾーンが表れた後、株価は上昇している。「より長期の平均線で見れば確率はいっそう高くなる」(川口氏)という。ただIPゾーンも当然絶対ではなく、他の指標と組み合わせた判断が必要だ。
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